「鑓の権三重帷子」(その2)
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作成日時 : 2009/01/12 14:10
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上之巻
舞台は浅香市之進宅
江戸詰めのために留守の市之進であるが、何事も如才ない妻おさゐが子供達の面倒を見ている。10歳になる男の子虎次郎は今日も剣術の稽古と称して下男の角介を相手に棒切れを振り回していたために、おさゐに叱られて仕方なくおさゐの父親岩木忠太兵衛の屋敷へ書物の読みならいに行かされる。姉娘のおきくは十三歳で年相応に大人びて容姿も美しく育っている。おさゐは娘の髪を直し、その美しさを下女たちに見せ娘自慢にかこつけて、おきくの夫には表小姓の笹野権三が良いと言い出す。年の離れた縁組みにおきくは嫌がるが、市之進とおさゐも12歳違いであるが、何の問題もなく連れ添っているのだからと説得し、「もしおきくが嫌ならば自分が男にもつ」と冗談を言いながらおきくに似合う着物を着せかけてみようと奥へ入って行く。ここへ笹野権三が酒樽を持って岩木忠太兵衛を訪ねてくる。毎日この屋敷を訪れる忠太兵衛であるが、今日はまだ来ないと聞くと権三は樽を置いて帰ろうとする。おさゐは権三に気づき、居間に通すと用向きを尋ねる。権三は若殿の祝言披露に市之進弟子衆の中から真の台子の茶を伝授されたものが、この茶事を仰せ付けられると言い、自分も日頃から師匠市之進から聞かされていることもあるが、なにぶんその秘伝の巻物を見た事もないので伝授されたとは言えない。この天下太平の世では、このような機会に名を上げなければ出世も覚束ないので、どうか伝授の巻物を見せて欲しいと頼み込む。おさゐはこれは一子相伝の伝授事なので、親子の契約が無ければ見せられないと答えて、おきくとの縁談を持ち出す。権三が答えられずにいると、おさゐは権三には外に約束した娘があるのだと解して立ち去ろうとする。権三は慌てて、それを打ち消し、おきくとの縁組みを承諾すると、おさゐは今夜のうちに伝授の巻物を権三へ見せようと約束する。ここへ雪の乳母がおさゐを訪ねてくる。かねてから雪の兄伴之丞から恋文が来て迷惑しているおさゐは、妹の乳母を使って不義をしかけようとしているのかと疑い、直接会わずに用向きを立ち聞きすることにする。権三は雪とのことがおさゐに知られることを恐れて顔色が変わるが、おさゐは権三を雪の乳母と顔が合わないように屋敷から抜けださせる。雪の乳母はおさゐが留守だと聞いて用件をことづけるが、その用件というのが権三と雪がすでに言い交わした仲であり、その仲人をおさゐに頼みたいということであったために、即座に断られて屋敷から追い返される。物陰でこの話を聞いたおさゐは嫉妬で胸がいっぱいになるが、父忠太兵衛が孫たちを連れて訪ねてくると、暗い気持ちを押えて愛想よく迎える。忠太兵衛は笹野権三が伝授の件で訪ねて来なかったかとおさゐに尋ね、おさゐは権三へ伝授の約束をしたと答えると、忠太兵衛も権三の心がけを褒めて、それで良かったと言って帰って行く。
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